
Dr. Susanna Ho
シンガポール教育省職員、国立教育研究所研究員、シンガポール社会科学大学の教員と八面六臂の活躍をするアジアを代表する国際的野外教育者です。シンガポール教育省野外教育主任としては、2014年に体育カリキュラムへの野外学習の導入を主導し、2016年の国家アウトドアアドベンチャー教育マスタープランの策定を手掛けました。また、国立教育研究所の研究員としては、アウトワード・バウンド・シンガポールの青少年向けプログラムの効果を検証し、シンガポール社会科学大学(SUSS)の准教授としても、野外教育の研究プロジェクトに指導に当たっています。国際的な活動としては、世界経済社会研究会議(ESRC)の研究チームとして、英国、デンマーク、オーストラリアの専門家と、野外教育が子どもたちのウェルビーイングに及ぼす影響について調査しました。また、野外教育に関する国際的な著書である「International Handbook of Outdoor Studies」にシンガポール代表として執筆しています。その他の社会活動として、体験教育協会(AEE)が発行する「体験学習研究」編集員、体験教育協会(AEE)の公認プログラム審査員、アウトワード・バウンド・インターナショナル研究諮問委員、アウトワード・バウンド・ベトナム運営委員などを務め、2024年には体験教育協会(AEE)の優秀研究者賞を受賞しました。
シンガポールの教育は、一貫してプラグマティズム(実践主義・実用主義)を採用し、変化する国のニーズと状況に対応するために進化してきました。そのため、天然資源が限られた小さな都市国家であるシンガポールでは、人材育成を重要な国家戦略として重視してきました(Martin & Ho, 2009)。この教育の枠組みにおいて、野外教育は、時に過小評価されながらも、重要な役割を果たしてきました。
独立以来、シンガポールの野外教育は目覚ましい発展を遂げました。国防上の「強い国家」を築くためのツールから、今日では総合的な発展のための包括的なアプローチへと変化しました。この変化は、教育哲学の転換を反映しており、社会の強化と国家安全保障に焦点を当てた「生き残るため」のアプローチから、生徒の多様な能力、創造性、そして人格の育成を重視する、より包括的な教育へと移行しています。
変化する社会のライフスタイル、ニーズ、価値観、そしてCOVID後の世界の要求の複合的な影響は、シンガポール国民、特に若者の精神的健康に大きな負担をかけています。このような背景から、野外教育は、特に子どもや若者のメンタルヘルスへの懸念の高まり、デジタルテクノロジーの利用増加、ソーシャルメディアの活用といった課題への対応に期待が寄せられています。
このプレゼンテーションでは、主に2016年にシンガポールで開始されたアウトドアアドベンチャー教育マスタープランについて紹介します。このマスタープランでは、プログラムの強化、産官学の連携の活性化、インフラ整備のための戦略計画が策定され、次なる飛躍に向けた方向性が示されました。